環境における取り組み

カーボンニュートラル達成に向けて

髙松コンストラクショングループ(以下、当社)は、「気候変動リスクへの対応」を重要なマテリアリティの一つと認識しています。当社は「建設を通じて社会における相互補完の一翼を担う。」の経営理念のもと、課題対応に取り組むため、2050年を目標としたカーボンニュートラル実現に向けた「CO2排出量削減ロードマップ」を策定いたしました。

ガバナンス体制

当社は、脱炭素化施策の策定や気候変動に関するリスクおよび機会の検討・審議を行う組織として、代表取締役社長を委員長とする「気候変動対策推進委員会」を設置しています。この委員会は、具体的な脱炭素化戦略を立案し、当社の削減目標および社会課題の解決に向けて中心的な役割を果たしています。グループ会社の事業部とも密に連携し、カーボンニュートラルの達成に向けて脱炭素経営に取り組んでいます。

髙松グループの温室効果ガス排出量と削減目標

当社グループのGHGプロトコル(※1)に基づく温室効果ガス排出量と削減目標は以下の通りです。

scope1
scope2
scope3

目標①

2023年度を基準年として、Scope1,2の排出量を2030年までに総量を24%以上削減し、2050年までにカーボンニュートラル達成

目標②

2023年度を基準年として、Scope3の排出量を2050年までにカーボンニュートラル達成

Scope1実績値(2023年度)

7,735.3 t-CO2eq

Scope2実績値(2023年度)

  • ロケーション基準:11,991.9 t-CO2eq
  • マーケット基準:12,339.0 t-CO2eq

Scope3実績値(2023年度)

556,954.4 t-CO2eq(※2)


また、当社のグループ会社である青木あすなろ建設、みらい建設工業およびその子会社では、Scope3を含めてCO2排出量算定しており、青木あすなろ建設ではSBTi(※3)に基づいた削減目標を設定し、2025年1月に認定を取得しています。
青木あすなろ建設の温室効果ガス排出量削減目標がSBT認定を取得しました|青木あすなろ建設株式会社

※1 GHGプロトコル:GHGプロトコルとは、民間および公共部門の事業、バリューチェーン、緩和活動等を含めた温室効果ガス排出量を測定、管理するための世界標準。
※2 Scope3の算定範囲について:現在、Scope3の排出量は、当社グループの青木あすなろ建設とみらい建設工業およびその子会社(青木マリーン、エムズ)を算定しています。今後、当社と左記以外の中核会社(髙松建設、東興ジオテック、タカマツハウス)の排出量算定を進めていき、その後は他のグループ子会社の算定も順次進めていく予定です。
※3 SBTi:気候変動対策のため、2015年のパリ協定を通じて、産業革命以前の水準から地球の気温上昇を1.5℃に抑えるため、2050年までに実質0(ネットゼロ)の達成に向けて、科学に基づきGHG排出量削減に向けた目標設定を推進する国際的なイニシアチブ。

カーボンニュートラル達成に向けた移行戦略

脱炭素化社会への移行に際して、当社はこの変化が重大な影響を及ぼすと認識しています。その影響を緩和するために、削減施策をGHGプロトコルに沿って検討し、各場面における具体的な削減施策を考案しています。また、中長期的なシナリオを考慮したロードマップを策定しています。

1. 建設・建築現場でのCO2排出量削減(Scope1)

施工の合理化や先進的な建設機械の使用による生産性向上、省エネルギー化の実施により、CO2排出量削減を進めます。

2. 再生可能エネルギー導入の推進(Scope2)

自社保有ビルや現場事務所への再生可能エネルギー電力の導入を進めています。また、各事業所における省エネ活動も行い、グループ全体でのCO2排出量の削減に取り組んでいます。

3. 低炭素・環境負荷低減の建材調達(Scope3)

グループ会社である青木あすなろ建設では、環境配慮型コンクリート「CELBIC(セルビック)」の研究会に参画し、低炭素型コンクリートの開発・普及を推進しています。
また、製造工程でCO2を固定化する「カーボンプールコンクリート」の研究開発プロジェクトに参画し、構造物への実装に向けて取り組んでいます。

環境配慮型BFコンクリート「CELBIC」 青木あすなろ建設株式会社
建築室内及び土木・建築一般構造物へのCO2を固定化するコンクリート適用技術の開発および実装 チャレンジ・ゼロ

4. 省エネ建築物の提供(Scope3)

建物の使用段階におけるエネルギー使用量は非常に膨大であることから、当社グループでは、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)やZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)をはじめとした、快適な室内環境を実現しつつ、建物での年間エネルギー消費量を削減できる省エネ建築物を推進しております。
建物の新築・改修を検討されるお客様にZEB化・ZEH化の優位性を説明し、積極的に提案することで省エネ建築物の普及に取り組んでおります。

環境に配慮した事業の促進

ZEB・ZEHの推進

グループ会社のタカマツハウスでは、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準の高断熱住宅(断熱性能5等級・一次エネルギー性能6等級)の提供を強化し、東京都のHTT取組推進宣言企業に認定されました。
また、タカマツハウスでは、2024年度以降に企画するすべての建売住宅をZEH水準にするという目標を掲げ、積極的にZEHの普及に取り組んでおります。

HTT取組推進宣言企業に認定 タカマツハウス株式会社

再生可能エネルギー事業

蓄電池事業

再生可能エネルギー 蓄電池事業 青木あすなろ建設
(札幌蓄電所イメージ図)

蓄電池事業は、2022年12月の法改正により蓄電池単独で送電線を介して系統電力に放電することが可能になり、脱炭素化社会に向けて、発電量が天候に左右される再生可能エネルギーの系統電力の安定化を図る事業として急速に拡大をしています。青木あすなろ建設では電力会社等と協同で蓄電池を利用したビジネスモデルを構築し、北海道の石狩市と札幌市に系統用蓄電所(出力10MW発電所容量30MWh)を建設しております。今後もカーボンニュートラル実現に寄与すべく事業展開を図っていきます。

風力発電事業

再生可能エネルギー 風力発電事業 青木あすなろ建設
(東由利ウィンドファーム)

日本国内に導入された風力発電は、2024年時点で累積5,840MW、設備基数2,720基に達しました。青木あすなろ建設では、2004年から風力発電の建設工事に取り組み、2025年5月末時点では全国で発電規模571MW、設備基数 264基を建設してきました。現地調査から計画立案、調査設計、開発許認可、建設に至る各フェーズで、様々な改善方策や提案を実施し、これまで開発が難しいとされてきた複雑な地形の山岳部等においても、建設実績を挙げてきています。

太陽光発電事業

再生可能エネルギー 太陽光発電事業 青木あすなろ建設
(久米南メガソーラー)

再生可能エネルギーに関する固定価格買取制度(FIT)が導入された2012年以降、日本国内では太陽光発電所の建設が劇的に増加してきました。そのような中、青木あすなろ建設は、早期から太陽光発電所の建設に取り組み、施工のみならず企画段階から現地調査、発電所計画の提案、許認可・設計等の技術的なサポートまで幅広く活動してきました。2025年5月末時点で完工は38箇所、発電規模889MWに上ります。多くの施工実績を積み上げる中で、ゴルフ場跡地など、複雑な地形での建設実績も残しています。

生物多様性

生物多様性に配慮した緑化

生物多様性に配慮した緑化 東興ジオテック株式会社

「生物多様性に配慮した在来種による自然回復緑化」の実現に向け、1995年以来、自社で在来種子を採取、貯蔵し、法面緑化工事で活用する傾斜地の環境緑化事業を展開しています。これからの時代の法面・斜面の緑化では、外来種を用いない在来種による自然回復緑化が求められており、多様なニーズに対応できる緑化工法メニューを取り揃えて、国土の緑化に貢献してまいります。

【東興ジオテックによる緑化工法事例】
エコストライプ工法(非面的吹付緑化工)

エコストライプ工法

植物を計画的に導入できる播種工(はしゅこう:種子から導入する工法)と、飛来種子で緑化する「自然侵入促進工」を組み合わせた工法です。法面を帯状に緑化して、周辺から植物が自然侵入できる空間を人為的に作ることにより、周辺植生による植生回復を促進するとともにコストを削減できます。

レミフォレスト工法(自然侵入促進工)

レミフォレスト工法

飛来種子を捕捉して緑化する自然侵入促進工法です。吹き付けた「高耐久性基盤」の上に立体構造の種子定着促進ネット「シードキャッチャー」を張り付けすることにより、地山とシードキャッチャーを密着できるので、凹凸のある岩質法面でも法面防災と速やかな自然回復の両立が実現します。

リサイクルアースグリーン工法(資源循環型緑化工)

リサイクルアースグリーン工法

掘削土や崩壊土砂などの「発生土」を主材料として活用する資源循環型緑化工法です。現地の土砂資源を循環活用することにより、土砂運搬や工場生産される緑化資材の使用量を抑制し、緑化工事で発生するCO₂排出量の低減にも貢献します。急速緑化から在来種による自然回復緑化まで広く適用できます。

【研究開発施設】
日本樹木種子研究所

在来種子の調達、独自開発した「早期発芽力検定法」による種子の品質検査、品質証明書の発行、種子貯蔵関連技術の開発を行なっています。

日本樹木種子研究所

早期発芽力検定法による追跡調査

種子貯蔵・計量袋詰施設(RSセンター)

独自開発技術を用いた在来種子の中長期貯蔵と、種子の計量袋詰・出荷を行なっています。

種子貯蔵施設

種子計量袋詰装置

TCFDの提言に沿った情報開示

髙松コンストラクショングループは、2023年6月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、TCFDの提言に沿った情報開示をおこなっております。
今後も、サステナビリティ経営を推進し、TCFDの提言に沿った情報開示を拡充してまいります。

TCFDロゴマーク

<TCFDの提言に沿った情報開示>

TCFDの提言に沿った情報開示

1.ガバナンス

  • 気候変動に係る基本方針や重要事項、リスクや機会等を検討・審議する組織として、代表取締役社長を委員長とする「気候変動対策推進委員会」を中心とした体制を構築しております。
  • 「気候変動対策推進委員会」で気候変動に関する検討をおこない、定期的に取締役会に上程・報告し、取締役会が監督・指示をおこなっております。
  • 取締役会で審議・決定された議案は、各部門に展開され、それぞれの経営計画・事業運営に反映します。
ガバナンス体制図

2.戦略

  • 中長期的なリスクの一つとして「気候変動」を捉え、関連リスクおよび機会を踏まえた戦略と組織のレジリエンスについて検討するため、当社はIEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ(2℃未満シナリオおよび4℃シナリオ)を参照し、2050年までの長期的な当社への影響を考察し、戸建住宅を含む建築・土木事業を中心にシナリオ分析を実施しました。

※2℃未満シナリオ:気温上昇を最低限に抑えるための規制の強化や市場の変化などの対策が取られるシナリオ(IEA-WEO2022-APS、 IPCC-AR5(第5次評価報告書)-RCP2.6 等)

※4℃シナリオ:気温上昇の結果、異常気象などの物理的影響が生じるシナリオ(IPCC-AR5(第5次評価報告書)-RCP8.5 等)

3.リスク管理

  • 気候変動リスクに関するワーキンググループを設置してシナリオ分析を実施しました。気候変動リスクの優先順位付けとして、リスク・機会の自社への発生可能性と影響度の大きさを勘案しながら、重点リスク要因に注力して取り組んでおります。気候変動リスクにつきましては、今後も「気候変動対策推進委員会」で継続的に検討していきます。
  • 気候変動リスクの管理プロセスとして、「気候変動対策推進委員会」により、気候変動リスクに関する分析、対策の立案と推進、進捗管理等を実践しております。
  • 「気候変動対策推進委員会」が気候変動リスクを管理し、事業会社および当社のグループ内部監査部や経営管理部等と連携することで、グループのリスクを統合しています。必要に応じ、取締役会と連携し、全社的なリスクマネジメント体制を構築しています。

4.指標と目標

  • 気候変動リスクを定量的に管理するため、温室効果ガス排出量を指標として、グループ全体の削減目標を下記のとおり設定いたしました。今後も気候変動への対策として、事業活動における排出量の削減に向けた取り組みを実行し、脱炭素社会に貢献できるよう努めます。
指標と目標

気候変動に関する主なリスクと機会および対応(木造戸建を含む建築・土木事業を対象に検討)

気候変動に関する主なリスクと機会および対応
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