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髙松コンストラクショングループはグループ22社で成り立っていますが、グループの概要と同業他社と比較しての強みについてお聞かせください。

 

 当社グループは建築・土木・不動産の3つの事業を手がけており、土地有効活用事業を核とした民間建築が中心の髙松建設を中核会社とする髙松建設グループと、中堅ゼネコンである青木あすなろ建設を中核会社とする、土木・官公需要の比率が高い青木あすなろ建設グループによって構成されています。そしてこの2つのグループが協働し、シナジー効果を発揮しています。
 当社グループの強みは、髙松建設の土地有効活用事業がしっかりコア・成長事業として根づいていることと、M&Aの推進により、さまざまな事業分野に強みをもつグループ各社のバランスが取れ、環境変化に対して強い対応力をもっていることです。民間中心の髙松建設グループと官庁に強い青木あすなろ建設グループが建築・土木をバランス良く分担し、双方が景気や環境の変化に対するスタビライザー、つまり安定化装置の役割を果たすことにより、グループ全体として景気変動への対応力を強め、安定した業績・利益を確保しています。


御社グループの母体会社である髙松建設のビジネスモデルについてお聞かせください。


 1960年代以降、お客様のご要望をお聞きして、賃貸住宅建設の請負を始めたところ、髙松建設が実施した住宅金融公庫の融資申請代行を含むコンサルティングが評判になり、受注が伸び成長していきました。この時期にコンサルティングに重きをおいた成功事例を積み重ね、髙松建設は独自のビジネスモデルを確立することができました。すなわち、建設とコンサルティングを合わせた「C&C(Consultant & Construct)」あるいは「開発営業」と呼ばれる独自の手法が、髙松建設のビジネスモデルの根幹です。そして、コンサルティングの領域は、建築や融資にとどまらず、税務、法務から建築後の賃貸・維持管理、修繕にまで広がっていきました。
 この髙松建設のビジネスモデルは、価格で競争するのではなく、提案力が勝負の鍵を握っており、豊富な過去事例は大きな強みとなっています。また、入札案件が多い他の建設会社と異なり、自社単独で受注をいただけることも大きな強みとなっています。そのうえ、着工の時期をコントロールすることで、効率よく期日を守って業務を進められ、資材の調達、協力会社や社員のやりくりも計画的に進めることができるというメリットもあります。しかしながら、お客様に提案してから成約まで何年もかかる、つまり何年も成果が出ないことを覚悟しなければならないので、その間の資金負担や、じっくり構える姿勢が必要であり、その点では真似のしにくいビジネスモデルでもあります。


2019年5月に発表された中期経営計画とその成長戦略についてお聞かせください。


 2020年3月期にスタートした中期経営計画「Create ! 2022」は、以下の5つの「Create」を柱に作成しております。
1)高成長、高収益企業を創る
2)グループの新事業領域を創る
3)多様性尊重、コンプライアンス重視の企業文化の創出
4)シナジー効果の創出
5)経済・社会や環境への価値創造


「Create ! 2022」の5つの柱の一本目として「高成長、高収益企業を創る」がありますが、今後の国内建設市場とグループの業績については、どのような見通しをもっていらっしゃいますか?


 国内建設総投資額は、2022年ごろまでは高原状態を維持するものの、それ以降は縮小すると考えられ、新設工事件数も減少していくでしょう。一方、賃貸マンション建設をはじめとする土地有効活用事業は、大都市圏、特に髙松建設が注力している東・名・阪エリアは好調が継続すると予想しています。
 このような市場見通しの中、成長の継続は当社グループにとって重要な使命と考えています。TCGグループ全体の売上高は年6%以上の成長を継続するとともに、営業利益率も2022年3月期に6.0%まで改善させ、10年後の2029年3月期には準大手ゼネコンの一角へと成長を遂げる、これが今の私たちが描いている将来像です。
 髙松建設グループは、東・名・阪の都心部での土地有効活用ビジネスを中心に、賃貸マンション建築はもちろん、オフィス、商業ビル、病院等の非マンション領域を強化し、高成長を継続します。近年、設計施工を主体としている髙松建設において非マンション物件が増え、且つ物件が大型化したことで設計期間が延び、着工時期の後ずれが見られますが、これをコントロールし、中期経営計画最終年度の2022年3月期に髙松建設グループは売上高1,400億円、営業利益110億円を目指します。
 一方、青木あすなろ建設グループの扱う土木・官公庁関連事業に関しては、2022年頃までは現状の市場規模が継続する見通しですが、それ以降は、市場が縮小していくと考えており、安定した成長の継続、生産性の向上や、施工時の粗利改善を狙い、中期経営計画最終年度の2022年3月期に青木あすなろ建設グループは売上高1,600億円、営業利益80億円を目指します。
 このように、成長の牽引役は引き続き髙松建設グループが担う一方、青木あすなろ建設グループは安定成長と収益力向上を継続し、TCGグループ全体での2022年3月期における売上高は3,000億円、営業利益は180億円を目指してまいります。


髙松建設の賃貸マンション建設事業に高成長を計画していますが、数年前から「賃貸マンション市場は過熱感がある」との報道が多くなりました。そのあたりの見通しはどのようにお考えでしょうか?


 日本における人口減少は始まっているものの、世帯数は2023年までは増加し、それ以降にゆるやかに減少し始めると予想されています。しかし、東・名・阪、特に東京に関しては、日本全体の世帯数が減少に転じる2023年以降も世帯数は増加を続ける見通しであり、私たちが注力している市場は、少なくとも今後10年程度は先細りするとは考えていません。


「Create ! 2022」の5つの柱の二本目として「グループの新事業領域を創る」を掲げられていますが、M&Aについてはどのようにお考えでしょうか?


 当社は「M&Aで成長を遂げた数少ない日本の建設会社」と言われています。かつて、「建設業界ではM&Aはうまくいかない。受注機会が減るだけ。」と言われる時代がありましたが、その中で当社はM&Aに前向きに取り組み、多彩な特色ある企業を数多く抱える企業集団へと変貌を遂げました。
 2012年にグループ入りした埋蔵文化財発掘における国内シェア第1位の島田組や、2018年のミブコーポレーションなど、近年は後継者不在による事業承継のために当社グループ入りすることも多くなりましたが、従来はいわゆる救済型のM&Aを行うことが多かったのです。当時M&Aで迎え入れた会社の中には、中堅ゼネコンの青木あすなろ建設、マリコン(海洋土木工事)のみらい建設工業、世界最古の企業で創業1400年以上の歴史のある金剛組など特色や強みをもった会社が多くあります。
 救済型M&Aの場合、実行の判断基準は、建設業として特色のある強みをもった会社であるか、当社グループのノウハウやシナジーにより売上や利益を伸ばしていけそうか、この2つだと思います。この2つがあれば、M&A実施後の業績回復は、うまくいく可能性が高いと考えています。事業会社の業績が現在は芳しくなくとも、負の遺産を清算し、多角化して重荷になっていた事業を思い切って切り落とすなど、その会社の原点・強みに戻る、すなわち"選択と集中"を大胆に実行するシナリオが描けるかどうかが、カギとなります。
 今後も高成長を継続するためにも、M&Aによる事業の補完は欠かせません。高成長を志向している髙松建設グループ周りで新たな可能性を主に探っていくことになるでしょう。従来、年間50件程度のM&A候補を検討してまいりましたが、このペースを崩すことなく、年1件以上は成約し、10年で500億円程度はM&A投資を実施し、10年後には新たに加えた会社だけで、合わせて年間900億円くらいの売上を上げることを目指します。


2017年10月に初の海外拠点としてTakamatsu Construction Group USA(以下、TCG USA)が設立されました。これまでの実績、今後の構想についてお聞かせください。


 TCG USAは「髙松建設のビジネスモデルを海外展開することができるか」を検証するため設立しました。これまでは、米国ニューヨークでの物件取得を通じて事業領域や営業エリアの検討を進めており、2022年3月期までには高収益ビジネスモデルを確立することを目指しています。その後は確立したビジネスモデルをベースにM&A等を実施し、事業を拡大したいと考えています。10年後には100億円くらいの売上を上げる会社に育てる所存です。


2018年4月にミブコーポレーションがM&AでTCGグループ入りしました。ミブコーポレーションがグループ入りしたことでのシナジー効果および今後の見通しについてお聞かせください。


 M&Aは、グループ入りする会社にとっても、受け入れる側にとってもメリットがあることが肝要です。
 ミブコーポレーションは不動産売買・不動産仲介を主業務としており、東京 世田谷区を中心とした富裕層の多いエリアで抜群の知名度があります。
 髙松建設の売上高は、数年前から首都圏が関西圏を上回っていますが、より一層東京のマーケットを開拓するためにも、業歴40年のミブコーポレーションがもつ営業情報は魅力であり、このM&Aはうまくいく確信がありました。
 グループ入りから約1年で、髙松建設とミブコーポレーションとの協同営業により、10棟程度の髙松建設の受注増へと繋がっています。


2019年4月にタカマツハウスを設立、2019年5月にタツミプランニングをM&Aし、本格的に木造戸建住宅事業に参入しました。狙いや今後の構想についてお聞かせください。


 タツミプランニングは、神奈川・横浜エリアを中心に20年以上に及ぶ戸建住宅建築の経験と実績のある会社です。M&Aの際に、TCGグループとの親和性を考え、従来実施していた不動産開発事業とメガソーラー事業は切り離し、戸建住宅事業とリフォーム事業のみを残したうえでグループ入りしていただきました。
 前述のミブコーポレーションに加え、今回のタツミプランニングのグループ入りにより、首都圏中心の戸建住宅関連事業の施工・販売子会社が揃ったことになります。タカマツハウスはミブコーポレーションとタツミプランニングの両社業務の企画管理等を担う目的で設立されました。
 タカマツハウスは現時点では髙松建設の子会社として位置づけられておりますが、我々としては、髙松建設、青木あすなろ建設に次ぐ中核の3番目の柱に大きく成長することを期待しています。


「Create ! 2022」の三本目の柱に「多様性尊重、コンプライアンス重視の企業文化の創出」がありますが、どのようにお考えでしょうか?


 当社グループがM&Aで成長を遂げられたのは、生まれ、育ち、事業領域が異なる各社の多様性や独立性を尊重する企業文化があり、これを尊いものとして育んできたことと、多様性を担保する公平で透明性の高い評価制度やコンプライアンス制度を整備してきたところが大きいと思います。
 当社グループでは、M&Aでグループ入りした各社の社名を極力残し、オペレーションも従来のマネジメントに任せ、人員整理を行わず、社員が安心して働き、モチベーションを高めることを通じて、業績を回復させてきました。この根底には多様性の尊重があります。
 一方、グループ企業の「束ね」として、コンプライアンスも重視してきました。当社グループでは、企業理念の中で、「不正や不当な手段による社益の追求」や「浮利を追う」ことを禁じています。これは、当社グループが長らく実践してきた理念であり、お客様と長く良好なお付き合いをさせていただいてきた鍵となっています。
 今後も多様性を尊重する企業文化を守るとともに、コンプライアンスにおいても社員教育や日々の指導を通じ徹底してゆく所存です。


「Create ! 2022」の「シナジー効果の創出」についてそのお考えをお聞かせください。


 当社グループにおいては、個々の会社の多様性・独立性を尊重してきましたが、それと並行して、個々の会社が連携し、シナジーを創出することも同様に重要です。
 しかしながら、現段階では当社グループのシナジー創出はまだまだ不十分で、改善の余地あり、と認識しています。
 先にも述べたとおり、この建設好景気はいつまでも続くわけではなく、市況が悪化するリスクに備え、グループの競争力、耐久力を高めることが求められます。
 髙松建設と青木あすなろ建設とがJVで取り組んだ大型物流倉庫の建設や、髙松建設と金剛組との協同営業、髙松エステートや髙松テクノサービスによる髙松建設施工物件の大規模修繕・管理比率のアップなど、現在進めているシナジー施策は今後もますます拡大させていきます。
 また、シナジーを考える際、グループ内の人事制度を統一したり、人員のグループ内異動を活発にすることも重要です。当社グループは建設・不動産業という括りの中で多様な会社が集まったグループであるがゆえ、各社で必要な職能が大きく異なり、採用・育成・評価といった人事制度はあえて共通化・統一化を進めず、また、会社間の人事交流もさほど活発とは言えませんでした。この点も各社の専門性などを前提としたうえで、進めていきたいと考えています。


「Create ! 2022」に「経済・社会や環境への価値創造」とありますが、SDGsに対する取り組みについて教えてください。


 昨今SDGsが重要な経営課題として取り上げられていますが、当社グループは従来から、「建設を通じて社会における相互補完の一翼を担う」ことを経営理念として掲げ、重視してきました。それを如実に示すのが、「SDGs貢献売上高」です。これは、我々の売上高のいくらが、SDGsが掲げる17のゴールに直接対応しているかを調べたもので、2019年3月期には全売上高の25%に達しており、これを3年間で31%まで高める方針です。このSDGs貢献売上高には、建築基準法の15%増し以上の強固な鉄筋コンクリート建築物や、聖徳太子の頃より連綿と引き継がれている宮大工の技術を継承している金剛組の売上高などが含まれています。


働き方改革についてはどのように進めていくのでしょうか?


 2022年3月期の目標として、髙松建設、青木あすなろ建設ともに4週8閉所を目指しております。しかし、閉所数を増やすことで、そのまま工期が延び、コストが上がってしまうようではお客様のご期待に沿えません。生産性の向上、すべての業務の効率向上が不可欠です。当社グループではICT機器の活用を促進し、省力化工法の採用促進、業務フローの見直しなどを通じて生産性の向上をはかっていくつもりです。


人材育成についてお聞かせください。また、女性活躍の推進についてはどのようにお考えですか?


 TCGグループの新卒採用に関しては、16年4月=161名、17年4月=178名、18年4月=238名、19年4月=218名と積極的な採用を行っており、21年4月も目標として256名の採用を掲げております。このスーパーゼネコンに匹敵するほどの採用数は、我々の社員数が3,915名(19年3月期)であることを考えるとかなり強気と言え、これは我々が今後の持続的成長を確信していることの現れでもあります。
 近年は女性の採用も増やしており、新卒採用者に占める女性の割合は、16年4月は16.1%、17年4月は24.4%、18年4月は24.3%、19年4月は24.8%と、現在では約4人に1人が女性です。設計や現場における女性技術者を積極的に採用しています。女性の管理職はまだまだ少ないのが現状ですが、女性の皆さんにはぜひ、ライフステージが変わっても仕事を続け、リーダーシップを発揮できる人材へと育っていってほしいと思います。2016年より女性を対象とした管理職研修や中堅社員研修も実施しています。


経営上の課題やビジネス上のリスクとして認識されている点はどのような点でしょうか?


髙松建設のビジネスリスクはやはり金利の上昇でしょうか。長らく低金利が続いていますが、この金利が上昇する局面になれば、お客様の不動産投資意欲、土地活用意欲が冷え込む恐れがあります。


株主還元についてお聞かせください。


 株主還元の指標である配当性向は、2016年3月期は21.1%、2017年3月期は23.5%、2018年3月期は25.1%、2019年3月期は29.7%と、着実に株主の皆様のご期待に応えられるよう歩んでまいりました。今後も業績に応じた利益還元を実施してゆくとともに、期初に配当性向を含め対外発表してまいります。2020年3月期以降、配当性向30%以上を継続したく考えています。
 一方、自社株買いについては、有効な利益還元策と考えておりますが、流動性の確保も勘案しつつ、実施を検討してまいります。


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