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髙松コンストラクショングループはグループ21社で成り立っていますが、グループの概要と同業他社と比較しての強みについてお聞かせください。

 

 当社グループは建築・土木・不動産の3つの事業を手掛けており、土地有効活用事業を核とした民間建築が中心の髙松建設を中核会社とする髙松建設グループと、中堅ゼネコンである青木あすなろ建設を中核会社とする、土木・官公庁の比率が高い青木あすなろ建設グループによって構成されています。そしてこの2つのグループが協働することで、シナジー効果を発揮しています。
 当社グループの強みは、髙松建設の土地有効活用事業がしっかりコア事業として根づいていることと、M&Aの推進により、さまざまな事業分野に強みをもつグループ各社のバランスが取れ、環境変化に対して強い対応力をもっていることです。民間中心の髙松建設グループと官庁に強い青木あすなろ建設グループが建築・土木をバランス良く分担し、双方が景気や環境の変化に対するスタビライザー、つまり安定化装置の役割を果たすことにより、グループ全体として景気変動への対応力を強め、安定した業績・利益を確保しています。


御社グループの母体会社である髙松建設のビジネスモデルについてお聞かせください。


 1960年代以降、お客様のご要望をお聞きして、賃貸住宅建設の請負を始めたところ、髙松建設が実施した住宅金融公庫の融資申請代行を含むコンサルティングが評判になり、受注が伸び成長していきました。この時期にコンサルティングに重きをおいた成功事例を積み重ね、髙松建設は独自のビジネスモデルを確立することができました。つまり、建設とコンサルティングを合わせた「C&C(Consultant & Construct)」あるいは「開発営業」と呼ばれる独自の手法が、髙松建設のビジネスモデルの根幹です。そして、コンサルティングの領域は、設計・建築や融資にとどまらず、税務、法務から完成後の賃貸・維持管理、修繕にまで広がっていきました。
 この髙松建設のビジネスモデルは、価格で競争するのではなく、提案力が勝負の鍵を握っており、豊富な過去事例は大きな強みとなっています。また、入札案件が多いいわゆるゼネコンと異なり、特命で受注をいただけることも大きな強みとなっています。そのうえ、着工の時期をコントロールすることで、効率よく期日を守って業務を進められ、資材の調達、協力会社や社員のやりくりを計画的に進めることができるというメリットもあります。しかしながら、お客様に提案してから成約まで何年もかかる、つまり何年も成果が出ないことを覚悟しなければならないので、その間の資金負担や、じっくり構える姿勢が必要であり、その点では他社には真似のしにくいビジネスモデルでもあります。


中期経営計画「Create ! 2022」の中で「グループの新事業領域を創る」を掲げられていますが、M&Aについてはどのようにお考えでしょうか?


 当社グループは「日本では数少ないM&Aで成長を遂げた建設会社」と言われています。かつては「建設業界ではM&Aはうまくいかない。受注機会が減るだけ」と言われる時代がありましたが、その中で当社はM&Aに前向きに取り組み、多彩な特色ある企業を数多く抱える企業集団へと発展してきました。
 2012年にグループ入りした埋蔵文化財発掘における国内シェア第1位の島田組や、2018年のミブコーポレーションなど、近年は後継者不在による事業承継のために当社グループ入りすることも多くなりましたが、以前はいわゆる救済型のM&Aを行うことが多かったのです。当時M&Aで迎え入れた会社の中には、中堅ゼネコンの青木あすなろ建設、マリコン(海洋土木工事)のみらい建設工業、世界最古の企業で創業1,400年以上の歴史のある金剛組など特色や強みをもった会社が多くあります。
 救済型M&Aの場合、実行の判断基準は、建設業として特色のある強みをもった会社であるか、当社グループのノウハウやシナジーにより売上や利益を伸ばしていけそうか、この2つだと思います。この2つがあれば、M&A実施後の業績回復は、うまくいく可能性が高いと考えています。事業会社の業績が現在は芳しくなくとも、負の遺産を清算し、多角化して重荷になっていた事業を思い切って切り落とすなど、その会社の原点・強みに戻る、すなわち"選択と集中"を大胆に実行するシナリオが描けるかどうかが、カギとなります。
 今後も高成長を継続するためにも、M&Aによる事業の補完は欠かせません。高成長を志向している髙松建設グループ周りで新たな可能性を主に探っていくことになるでしょう。従来、年間50件程度のM&A候補を検討してまいりましたが、このペースを崩すことなく、年1件以上は成約し、10年で500億円程度はM&A投資を実施し、10年後には新たに加えた会社だけで、合わせて年間900億円くらいの売上を上げることを目指します。


2017年10月に初の海外拠点としてTakamatsu Construction Group USA(以下、TCG USA)が設立されました。これまでの実績、今後の構想についてお聞かせください。


 TCG USAは「髙松建設のビジネスモデルを海外展開することができるか」を検証するために設立しました。これまでは、米国ニューヨークでの物件取得を通じて事業領域や営業エリアの検討を進めており、カリフォルニアにも拡大しました。2022年3月期までには高収益ビジネスモデルを確立することを目指しています。その後は確立したビジネスモデルをベースにM&A等を実施し、事業を拡大したいと考えています。10年後には100億円くらいの売上を上げる会社に育てる所存です。


2018年4月にミブコーポレーションをM&Aし、2019年4月にタカマツハウスを設立、2019年5月にはタツミプランニングをM&Aしました。木造戸建住宅事業に関して、今後の構想をお聞かせください。


 M&Aは、グループ入りする会社にとっても、受け入れる側にとってもメリットがあることが肝要です。
 ミブコーポレーションは不動産売買・不動産仲介を主業務としており、東京 世田谷区を中心とした富裕層の多いエリアで抜群の知名度があります。
 タツミプランニングは、神奈川・横浜エリアを中心に20年以上に及ぶ戸建住宅建築の経験と実績のある会社です。M&Aの際に、当社グループとの親和性を考え、従来実施していた不動産開発事業とメガソーラー事業は切り離し、戸建住宅事業とリフォーム事業のみを残したうえでグループ入りしていただきました。
 今後、木造戸建住宅事業では、タカマツハウスが企画と土地の仕入れと販売、タツミプランニングが施工というスキームで取り組んでまいります。また、ミブコーポレーションとは、同社が強い営業基盤を有する地域の不動産情報を共有することで、その不動産情報をもとにタカマツハウスが土地の仕入れを行う、というシナジー効果も期待しています。タカマツハウスは現時点では髙松建設の子会社として位置づけられておりますが、私たちとしては、髙松建設、青木あすなろ建設に次ぐ中核の3番目の柱に大きく成長することを期待しています。


中期経営計画「Create ! 2022」の中で「多様性尊重、コンプライアンス重視の企業文化の創出」がありますが、どのようにお考えでしょうか?


 当社グループがM&Aで成長を遂げられたのは、生まれ、育ち、事業領域が異なる各社の多様性や独立性を尊重する企業文化があり、これを尊いものとして育んできたことと、多様性を担保する公平で透明性の高い評価制度やコンプライアンス制度を整備してきたことが大きいと思います。 当社グループでは、M&Aでグループ入りした各社の社名を極力残し、オペレーションも従来のマネジメントに任せ、人員整理を行わず、社員が安心して働き、モチベーションを高めることを通じて、業績を回復させてきました。この根底には多様性の尊重があります。
 一方、グループ企業の「束ね」として、コンプライアンスも重視してきました。当社グループでは、基本理念の中で、「不正や不当な手段による社益の追求」や「浮利を追う」ことを禁じています。これは、当社グループが長らく実践してきた理念であり、お客様と長く良好なお付き合いをさせていただいてきた鍵となっています。
 今後も多様性を尊重する企業文化を守るとともに、コンプライアンスにおいても社員教育や日々の指導を通じ徹底していく所存です。


中期経営計画「Create ! 2022」の「シナジー効果の創出」について、そのお考えをお聞かせください。


 2019年11月に当社グループの中核事業会社である青木あすなろ建設に対するTOBが完了し、100%子会社となりました。このことにより、グループ間の垣根がなくなり、より一層グループ一枚岩でのスクラム強化、シナジー発揮の基盤が整ったと捉えております。今後は髙松建設グループと青木あすなろ建設グループの連携を一層強化し、グループ共通の経営プラットフォームを確立してシナジー効果を創出していきたいと考えています。
 現時点では、シナジー効果を創出するための施策として、髙松建設と青木あすなろ建設とがJVで取り組んだ大型物流倉庫の建設に代表されるようなグループ企業間でのJVの推進や、髙松建設と金剛組との協働営業、髙松エステートや髙松テクノサービスによる髙松建設施工物件の大規模修繕・管理比率のアップなどを、検討しております。
 施策検討の前提としては、以下の点に重点を置いております。
 まず、1点目に、グループ各社の多様性と独立性を尊重し、多様性と独立性を阻害するような形でのシナジーは追求しないこととしております。
 2点目に、シナジー効果の創出は、上に挙げた施策で終了するものではなく、今後も継続的にシナジーの発揮ができるものを検討してまいります。
  3点目に、市況悪化のリスクに備えるため、グループの競争力と耐久力を向上させるためのシナジーを追求してまいります。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による建設市場の見通しの不確実性など、この部分のシナジーは今後重要性を増してくると考えております。
 4点目に、さまざまな社内制度の共通化を図ろうと考えていますが、各社の業態や個性と歴史も異なることから、これらについては十分配慮した形でシナジー効果を創出していきたいと考えております。


中期経営計画「Create ! 2022」に「経済・社会や環境への価値創造」とありますが、SDGsに対する取り組みについて教えてください。


 昨今、SDGsが重要な経営課題として取り上げられていますが、当社グループは従来から、「建設を通じて社会における相互補完の一翼を担う」ことを経営理念として掲げ、重視してきました。それを如実に示すのが、「SDGs貢献売上高」です。これは、私たちの売上高のいくらが、SDGsが掲げる17のゴールに直接対応しているかを調べたもので、2020年3月期には全売上高の20%超に達しており、これを中期経営計画の最終年度までに31%に高める方針です。このSDGs貢献売上高には、建築基準法の15%増し以上の強固な鉄筋コンクリート建築物や、飛鳥時代より連綿と引き継がれている宮大工の技術を継承している金剛組の売上高などが含まれています。


働き方改革についてはどのように進めていくのでしょうか? 


 2022年3月期の目標として、髙松建設、青木あすなろ建設ともに建設現場の4週8閉所を目指しております。しかし、閉所数を増やすことで、そのまま工期が延び、コストが上がってしまうようではお客様のご期待に沿えません。生産性の向上、全ての業務の効率向上が不可欠です。当社グループではICT機器の活用を促進し、省力化工法の採用促進、業務フローの見直しなどを通じて生産性の向上を図っていくつもりです。
  また、管理部門や設計部門、購買や積算といった内勤に関しては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を機に在宅勤務を開始したところ、在宅勤務でも業務の実施が十分に可能であることが分かったため、今後も在宅勤務のあり方を検討したうえで実施を継続していく方向です。


人材育成についてお聞かせください。また、女性活躍の推進についてはどのようにお考えですか? 


 TCGグループの新卒採用に関しては、16年4月=161名、17年4月=178名、18年4月=238名、19年4月=218名、20年4月=235名と積極的な採用を行っております。このスーパーゼネコンに匹敵するほどの採用数は、私たちの社員数が4,389名(20年3月期)であることを考えるとかなり強気な人数と言え、これは私たちが今後の持続的成長を確信していることの現れでもあります。
 近年は女性の採用も増やしており、新卒採用者に占める女性の割合は、16年4月は16.1%、17年4月は24.4%、18年4月は24.3%、19年4月は24.8%、20年4月は23.8%と、現在では約4人に1人が女性です。設計や現場における女性技術者を積極的に採用しています。女性の管理職はまだまだ少ないのが現状ですが、女性の皆さんにはぜひ、ライフステージが変わっても仕事を続け、リーダーシップを発揮できる人材へと育っていってほしいと思います。2016年より女性を対象とした管理職研修や中堅社員研修も実施しています。


株主還元についてお聞かせください。


 2020年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益は、業績が順調に推移したことにより、想定を大幅に上回ることができました。2020年3月期の配当金については、期初発表通り、前期比3円増の63円としております。
 当社は業績に応じた利益還元を行うことを基本方針としており、2016年3月期より配当性向30%を当面の目標として掲げ、2015年3月期は15.3%だった配当性向を、21.1%、23.5%、25.1%、29.7%としてまいりました。
 2020年3月期の配当性向は25.2%と前期比4.5ポイントの低下となりますが、新型コロナウイルス感染症等の影響により2021年3月期の見通しが不確実になる中、今期以降も株主の皆様への安定配当の継続を目指し、今期配当も63円としたものとご理解いただければと存じます。
 一方、自社株買いについては、有効な利益還元策と考えておりますが、流動性の確保も勘案しつつ、実施を検討してまいります。


代表取締役社長 髙松 浩孝